館山リノベーションスクールはじめて物語【第5章】「今はそれどころではない」
(「第4章」からのつづき)
【第5章:「今はそれどころではない」】
9月9日の台風15号が去った後、今度はさらに大型の台風19号の関東直撃が予報されました、南房総については前回ほどの被害はありませんでした。
ホッと胸を撫で下ろしたのが10月12日。
ここまでで失われた1ヶ月。
リノベーションスクールに話を戻します。
11月6日に予定されていた事前講演会。台風19号の状況をみて実施を決めようということで、告知ポスター制作も入稿直前で止めていたのでした。
9月に予定されていた地域一番の祭礼は中止となり、行楽の秋に向けて仕込まれていた様々なイベントも中止のお知らせが相次いでいました。
「仕方ないね、今はそれどころじゃない」
何かを延期・中止する際の合言葉みたいになっていました。
当初の「復興ハイ」は、やがて途方もない日常に変わっていました。
無敵モードのスーパーマリオ達は、すでにチビマリオになっています。
みんな疲弊していました。
休みなく体を張った作業にあたる男性はもちろん、給食センターが被災して毎日のお弁当を作らないとならなくなったママさん達も含め。
さて、リノベーションスクールはどうしようか?
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関係者の気持ちは、会議をやるまでもなく決まっていました。
こんな時期なのだから。
「やろう。こんな時期だからこそ。事前講演会もリノベーションスクールも!」
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こうして11月6日。
宮城県石巻市から亀山貴一さんを講師に迎えた事前講演会が開催されました。
3.11の壊滅的打撃から復興を遂げ、6次産業化に取り組む話に、参加者は館山の今と未来に重ね、時に涙を浮かべ、そして勇気を受け取りました。
この講演は8月段階で青木さんが企画して、亀山さんへの依頼を済ませていたのです。
スクールマスターは「館山の秋」を予感していたのじゃないか、とちょっと怖くもなるような神キャスティングでした。
ともあれ、GO!だ。進むしかない。
この講演会の日から、1月8日のリノベーションスクール開催に向けた参加者募集が開始しました。
果たして24人も集まるのだろうか。
「今はそれどころではない」が支配したこのまちで。
(「最終章」につづく)