再建築不可の長屋リノベ 大阪城の石垣を生かす空間づくり【取材部レポート#2】
こちらの記事は大家の学校の部活動のひとつ「大家の学校 取材部」によるレポートです。記事の取材依頼受け付けています♪♪
2022年1月、大家の学校8期の講師である岡田和幸先生の物件へ伺いました。岡田さんがリノベした築古長屋に入居しているのはブックカフェ「書肆喫茶 mori 」(大阪市)。大阪メトロ「谷町六丁目駅」から3分程度歩くと、再建築不可の長屋があつまる一角にあります。
内装をリノベして今風に生まれ変わった空間がとてもおしゃれ♪♪
昭和レトロな谷六の長屋エリアを探訪
この谷六(大阪市中央区谷町6丁目エリア)には、「書肆喫茶 mori 」をはじめとした個性的な長屋が集まっています。店主は比較的若い20代~40代なイメージ。
出入り口の反対側の窓から見える石垣ですが、なんと豊臣秀吉が大阪城を築城した時に築かれた空堀(敵の侵入を防ぐために作られた水のない堀)の名残だとか。
その石垣をあえて広めの窓から覗けるようにして、まるでインテリアのように活用。窓からの視界を遮る石垣をあえて有効活用するとは!築古リノベのこうした逆転の発想はいつも勉強になります。
一つできたらもう一つ。リノベ長屋が増えてきた
「書肆喫茶 mori 」の斜め向かいにあるのが日本茶専門店「結音茶舗」です。
ここで玉露をいただきながら奥さんのお話を伺ったところ、この一角の長屋リノベの先駆けが「結音茶舗」だったようです。
「結音茶舗」さんは繁華街エリアでお店をやっていたそうですが、建て替えで立ち退きに。たまたま縁があったのが、今お店をやっている長屋だったそうです。旦那さんが完全DIYで内装を一新。長屋の温かみも残しつつ、今時なインテリアを意識し、昭和初期や大正時代のロマンを感じさせるお店に生まれ変わりました。
他にも谷六エリアには、昔の長屋やお屋敷を再生させ、複合ショップにした「萌」「練」「惣」という3つの建築物があります。
そうです「萌・練・惣(ほうれんそう)」です(笑)
登録有形文化財にも指定されているほど由緒正しきお屋敷だそうです。
まさに全てはここから始まったと言っても過言ではなく、谷六エリアに長屋やお屋敷を活用した若者向け物件が増え始めたのも複合ショップ「萌・練・惣(ほうれんそう)」ができてからなんですって。
経済原理だけ考えたら収益マンションでも建ちそうな便利なエリアなのですが、建築物を文化財として残したいというオーナーの意向で「萌・練・惣(ほうれんそう)」プロジェクトが始まったそうです。
惣は2004年にオープンしているからそろそろ20周年ですね!
とはいえ放っておくと大型スーパーができる
谷町六丁目駅への帰路。築古の建物をリノベした店舗の向かい側に、一際強い存在感を放つ大型スーパー「ライフ」がありました。あの空堀の石垣を隠すように建っています。確かに便利だけどね、私も近くに住んでたら「ライフ」行きますよ、行くけどね。
けれど、なんとなくガッカリ感があるのも事実。経済合理性とのバランスはかくも難しき。
今回は以上です。また随時レポートをあげていきます。