大家の学校9・10期の受講を経て、それぞれに進み出した "留年シスターズ" 4人の、2年間とこれからのこと。(前半) | 大家の学校

大家の学校9・10期の受講を経て、それぞれに進み出した “留年シスターズ” 4人の、2年間とこれからのこと。(前半)

2022年に行った大家の学校9期と、2023年の10期を2期連続で受講してくれた4人組。毎回の予習・講座にも積極的に参加し、いつの間にか、愛ある『留年シスターズ』というネーミングもついていました。境遇も目的も異なる4人が、偶然にもこの場で出会い、学びや実践を共有しながら駆け抜けた2年間。大家の学校10期終了のタイミングで学びや気づきの振り返りと、これからのプロジェクトのこと、大家の学校への想いを伺いました。

 

前半と後半に分けてお届けします。まず前半は、受講を通して印象的だった出来事や、一番身近な講師である校長の青木純や運営の宮田サラへの想いをお話しいただきました。(話し手:写真の左から悦子さん、由美さん、裕美さん、陽子さん)

〜  4人のご紹介(写真左から)〜

悦子さん・長女

千葉県松戸市・富津市に物件を持ち、2拠点生活を行っている悦子さん(えっちゃん)。松戸市では、DIY可能物件の『つぼみハイツ』を運営。富津市では、セルフビルドで『循環する家』をつくっていて、“自然も人悦ぶ暮らし” をコンセプトに、土壌改良から素材集めまで学びながら進行中。「一流の大家さん、幸せな大家さんになりたい」という想いで、大家の学校・集中ゼミナールに参加されました。

 

由美さん・四女

緑のまちづくりを進める造園職としてお仕事されている由美さん。受講を決めた頃から、オーナさんから依頼を受け手伝っていたアパートの建て替え計画が進んでいて、翌年に着工を控えている段階でした。「人口が減り空き家が増えていく中で、賃貸住宅を新築していいのだろうか」「住む人や地域にとっても良い場にしたい」という思いを持って大家の学校・集中ゼミナールに参加。紆余曲折を経ながらも、想いのこもった賃貸住宅『萌え木』が受講中に完成しました!

 

裕美さん・次女

2021年に、家族で世田谷区から千葉県のいすみ市に移住された裕美さん。その後、ご主人がジャージー牛を放牧する牧場「うたうファーム」を開始し、牛を3頭飼い始めました。『パンとチーズと発酵マルシェ』の企画と運営もしています。2024年の春に牛乳がとれるようになったら、フローズンヨーグルトの店をオープン予定。ゆくゆくは「エコビレッジをつくりたい」という想いを持って大家の学校を受講!

 

陽子さん・三女

バリキャリ会社員の陽子さん。現在は家族3人での暮らしですが、以前に会社の同期とルームシェアをしていた時の居心地の良さや安心感が心に残っていて、いつか「ひとのホームをつくりたい」という想いを持って大家の学校に参加しました。「自分が住む家を探したい」という気持ちでのスタートでしたが、9期と10期、集中ゼミナールの受講を経て、なんと川越に土地を購入し、コミュニティのある賃貸住宅を計画中!

本日、いよいよ大家の学校10期の閉校式を迎えますが、今どんな気分ですか?

由美 月に1回皆さんと会っていたので、やはり寂しさもあります。でも、プロジェクトはそれぞれどんどん進んでいくと思うので、自分自身も進みつつ、みなさんの変化も楽しみだなという気持ちです!

 

悦子 これで終わる感が全然なくて、いろんな人と繋がって、これからも続いていくんだろうなという感じがしています。2期以上受講した人は、受講生の学びをより深める役割である「先輩」になれる制度があるので、11期も先輩として参加させてもらうつもりです。

 

陽子 自分のプロジェクトがまだ始まってすらいない状況だから、終わるというか一区切りくらいの感じ……。でも、9期を受けた時の終わりと10期終了の今とでは、全く異なるステップを踏んでるから、違う学びと成長をしたんだろうなと思います。

 

裕美 確かに寂しいのもあるし、正直、ちょっと焦るところもある感じです。由美ちゃんは物件が建ったし、陽子ちゃんは家づくりのプロジェクトをやろうとしているし、えっちゃんもセルフビルドを進めているし。そういう意味で私は、大家さんをやりたいと思って入ったけど、 “大家” と言えるプロジェクトは一つもない状態です。

 

悦子陽子由美 いやいや、牧場をやっているのも十分に大家業って言えるんじゃない?!)

 

裕美 受講を通して、大家さんってどういう気持ちなんだろうっていうのを体感することができたし、個性ある人たちが沢山いることに気づけて、完成形ができる前の状態も知れたから、自分は絶対無理だ、とか思っているわけではないけれど、自分自身が大家的に変わってないことへのちょっとした残念感というか焦りみたいなのは、正直あるかなという気持ちですね。

 

▲家族で3頭の牛を飼っている裕美さん。ご自身が企画したマルシェも開催しています。

 

この2年、大家の学校を受講しながら、各自が様々な取り組みをされていたと思います。その中で特に印象深い出来事を教えてください。

由美 西池袋にある賃貸住宅『ニシイケバレイ』での暮らしです!大家の学校のご縁で、『ニシイケバレイ』に住むことができて、自分自身が暮らしを楽しむっていうのを最大限に体験・体感させてもらいました!住人として場づくりに関わらせていただき、大家さんの目線や考え方をすごく学ばせてもらったし、豊島区は人と人がつながりやすいまちなので、周りの方との関わりがどんどん広がっていくのも本当に楽しくて……なので、ニシイケバレイの印象が一番大きいです。

 

10月末に行った『萌え木』のお披露目会も印象深くて。悦子さん・裕美さん・陽子さんも来てくれたし、お世話になった方や入居者さん、地域の方も沢山来てくれました。その光景を見たオーナーさんが「今までコミュニティの意味がよく分からなかったけど、今日やっとわかりました」ってランチ会の挨拶で言ってくれて、色々あったけれど頑張ってきてよかったなと感動しました。みなさんに支えられたなぁと思った瞬間でした。

 

陽子 大家の学校で講師の方たちに会うたびに、面白く生きてる大人の人がいっぱいいるなってすごく思って。それにものすごい背中を押されました。講師一人ひとりが、人として楽しそうで。話を聞いてると、講師の方たちも最初から完成形を描いてたわけじゃなくて、こっちかなって鼻が利く方をやっていったら、今こんな感じです……みたいなのが興味深くて。

 

特に、9期の講師の進藤強さん、室田啓介さん、茨田禎之さんのお話とか、インパクトがありました。進藤さんと室田さんとは、偶然にも授業の後に飲みにいくこともできて!「こっちの世界面白いよー」って、お話しぶりから、本当に面白そうだなぁと思わせてくれた、ここが転機な気がします。大家さんってどうやってなるんだろうとか、その正解ってなんなんだろうとかって思ってたけど、正解がある人もないタイプの人もいて、自分でもやれそうだなって思えました。

 

 

裕美 進藤さん、室田さん、茨田さんは、設計業をされていて自分と職業が近く感じるから、私は逆にすごい手堅く、理論派に見えてた!直感で流れでいくというよりは、抑えるところは抑えていて、お金もしっかり計算してて、現実的な印象だった。だから、陽子ちゃんの話は意外だな!でも、確かにそういう捉え方もあるね!

 

悦子 私は、自分が知らなかった世界を広げてもらった気がします。谷口千春さんが「想像できることは、創造できる」と言っていたけど、まさに、想像できることが広がった感じ。

 

裕美陽子由美 えっちゃんも広げてる方だけど……!(笑))

 

集中ゼミナールも受講して、頭で考えてたことを全部捨てて「パカ!ぴょん!」って新しい自分が出てきて。「やりたいことをやる!」って、お金のこととかも一回置いとこうって思えて、自分でセルフビルドをやるって決めたあの瞬間は、「あ〜スッキリした!」っていう気持ちでした。

 

陽子 えっちゃんのあの瞬間は、「収支計画破り捨てていいんだ……」って私もすごいスッキリした。経緯もよく知らなかったし、初めて見た私からすると「セルフビルド?!」って意味わかんなかったけど、えっちゃんの様子がめっちゃスッキリしてて、楽しそうだなあって思ってた。進藤さんと同じくらい衝撃的だったな。

 

 

一番身近な講師とも言える校長の純さんや運営のサラさんからも、沢山アドバイスを受けられたていたように思います。お二人と関わって感じたことは?

裕美 いいことばっかりじゃないんだな、っていうのを、2人が特に教えてくれた気がします。やっぱり不動産って大変な面もあるから、それでも、傷つきながらもそこを乗り越え、自分のつくりたい暮らしを描いて、仲間と一緒にやっていくんだっていうのを伝えてくれました。素敵な状態も辛い時のことも両方話してくれたから、そういうものなんだなって思えた。

 

悦子 確かに、よくなかった時のことも話してくれたことで、みんなそうなんだって勇気をもらえたよね。上手くいってる人を見ると、いいなとか羨ましいなとか思っちゃうけど、そういう大変な面もあるよねってわかるだけで、頑張れます。

 

由美 私は、大家の学校の場を1番活用させていただいてるかも!オーナーさんやハウスメーカーとの協働で事業を進めていく中で、大変なこともいっぱいあって。そんな中、9期が始まってすぐの7月くらい、ちょうど設計の大詰めのタイミングで、「利便上、コモンスペースに駐輪場をつくりたい」というオーナーさんの強い意志があり、それをどうにか違う場所にしたかったから、純さんとサラさんに来ていただき、専門家としてアドバイスしてもらいました。その時は、オーナーさんはコミュニティとか地域に開くってなんなのか全然わかってなかったし、初めてのことだから不安な状態だったんですけど、純さんが「僕たちがいるから絶対大丈夫です!」って言い切ってくださって。その言葉で、オーナーさんも信頼してくれたし、任せてくれた部分もあったから、本当にありがたかったです。その後も、お2人にはこまめに相談し、サポートしてもらって進んでこれたので、とても感謝しています。お披露目会の時も、メッセージくれて!泣きましたね。

 

▲由美さんの想いが詰まった緑豊かな萌え木のコモンスペース。すでに地域の方の憩いの場になっています。

 

陽子 私が今やろうとしていることは、大家の学校の界隈の人たちが見本みたいなものをいっぱいつくってくれていて、やろうって思ったら参考になるものがすでにある状況。沢山の事例を集めて、こういうジャンルをつくってくれていて、それを享受しにいけるのは、めちゃくちゃショートカットできてると思うし、すごい幸せなことだなと感じます。全部を自分一人で探そうとしても探せないし、想いを共有できる人にもなかなか会えないけど、大家の学校に行けば、わかるわかるって話し合えるから、純さんが大家の学校をやってくれてよかったなって思っています。

 

あと、純さんとサラさん見てて、自分の名前で仕事するってすごい素敵でかっこいいなと思いました!会社とか所属してる何かとかじゃなくて、共鳴する誰かと仕事して、またそれが繋がってっていうのがこっちにも見えるから、生き方として、いいなって。

 


大家の学校の受講を通して、4人それぞれに印象的な出会いや経験をされて、それが取り組みを後押ししたり、目指したいロールモデルとなっていたりするのだなと感じられました。また、和気藹々とした会話から、お互いが刺激しあい、学び合ってきた関係性も伝わりました。後半は、こうした過程を経て、どんな心境の変化があったか、これからどんなふうに過ごしていきたいかを語っていただきます。


 

 

大家の学校11期 受講生募集中!

家やお店、オフィスなどの場やまちの在り方を一緒に学び、
考えていくスクールであり、プラットフォーム「大家の学校」。
2024年5月に開校する11期の受講生を募集しています!

社会的に様々な変化が続いているここ数年。
私たちは、これからの新しい暮らし方や環境、価値観を模索し、
“みんな”ではなく、一人ひとりにあった事業やサービス、関わり合いを
育んでいく時代へ移行していく過渡期にいます。
そんな中だからこそ、効率や生産性の高さに囚われず、
丁寧に熱意を持って個性ある新しい価値を生み出している人を講師として招き、
受講生同士刺激を与え合いながら、
自らが答えをつくり出していけるように学びを深めていきます。

【大家の学校の詳細・お申込はこちら】

https://mamekurashi.com/oyanogakkou/

申込期間:2023年12月13日〜2024年3月31日
受講期間:2024年5月19日〜2024年12月8日

【こんな方におすすめ】

・場づくり、まちづくりに興味がある方
・未来志向の大家さん
・現在は物件を持っていないが、今後受け継ぐかもしれない方
・これから物件を持ちたいと考えている方
・物件を所有する予定はないが、人が集う場をつくりたい方

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