トダピースが考える「価値を生みつづける賃貸ってなんだ!?」第3回:エリアの価値を上げていくことを仕掛けましょう
地域(エリア)の価値を上げていくようなことを仕掛けましょう
さて、モクチン企画さんからの新築アパートの提案は
(1) アトリエアクセスの長屋3世帯+シェアスペース(1F工房スペース+2F住居)
(2) シェアスペースは入居者と不動産屋(つまりワタシたち)でシェア
(3) 入居者と自分たちがかかわるスペース(余白)を残しておく
というもの。
これまでの賃貸住宅といえば「プライバシー」や「セキュリティ」といった部分が重要視され、どんどんと個別に断絶してく傾向にあり、境界をはっきりさせることが良しとされてきました。
近年では大家と借主との関係性をも断絶する「サブリース」といった制度が主流となり、「手離れの良いアパート経営」こそが価値ある賃貸、大家業の王道となりつつあります。「トラブルなく手間ヒマかけずに稼ぐ。」といったセールストークですね(苦笑)。
ただ今回のプロジェクトは今の時代のアパート経営とは全く逆行した、大家や不動産屋が顔を見せてコミュニケーションを図ることで、地域(エリア)の価値を表現していこうというもの。
とはいえ、20年以上不動産屋をやってきた中でそんな取り組み見たことないし、やったこともない。(汗)
「百聞は一見にしかず、行ってみなくちゃわからない!」とばかりに、とりあえずエリアの価値を上げる「ハコ」や「取り組み」を行っている物件を見に行くことにしました。
入居者と不動産屋の関係を紡ぐ食堂
まずは皆さまご存知「トーコーキッチン」。
ここは大家の学校の講師でモクチン企画さんのパートナーでもある東郊住宅社の池田さんによるプロジェクト(モクチン企画さんが内装デザインをやっています)。
不動産屋が「入居者のための食堂」をつくり、利益度外視で朝食100円、昼食・夕食500円で提供するという取り組み。
「トーコーキッチン徒歩〇分」という検索ワードが出来るほどの人気ぶりで、通りの人の流れを変え、淵野辺エリア全体の価値を向上させたスーパースター。
池田峰社長の「ひととなり」がそのままカタチになったような空間で「居心地良い!」の一言。
ウチのムスメが一人暮らしをするなら絶対「東郊住宅社」の管理物件に住ませたいと思うくらい。(笑)
賃貸管理の業界は入居者の声(クレーム)が少ないほど良いとされ、これまで更新時しか顔を合わせなかった「入居者」と「不動産業者」との関係性を覆し、常にコミュニケーションが取れるようなしかけつくりはまさに目からウロコ。
やっていることがスゴすぎてマネするなんて恐れ多いのですが、エリアにくさびを打ち込んだ強烈な事例でした。
トーコーキッチンが紹介されている記事:https://suumo.jp/journal/2017/01/25/126455/